畑の土の湿り気や気温を測る仕組みの方針が固まったところで、次に考えていたのは「カメラ」だった。

数字だけでは、葉の色や、虫に食われていないかまでは分からない。畑の様子を写真で確認できれば、次にどこを優先して見に行けばいいか、行く前に見当がつく。そう考えて、畑を見下ろす位置にカメラを1台設置する計画を立て始めた。

ふと浮かんだ、もう一つの使い道

カメラの設置場所や仕組みをAIと相談しているうちに、ふと思った。

「これ、畑だけじゃなくて、庭の雑草の様子も見られないだろうか」

そもそも実家に通っている一番の理由は、草刈りだった。せっかくカメラを1台用意するなら、畑だけでなく、庭の雑草がどれくらい伸びているかも遠くから確認できれば、草刈りに行くべきタイミングも見計らえるのではないか。

最初は「別々に用意する」つもりだった

思いついた直後は、畑用のカメラとは別に、雑草確認専用のカメラをもう1台用意するつもりでいた。用途が違うのだから、機械も分けた方が分かりやすいだろう、という単純な考えだった。

ところが、必要な部品と金額をAIと一緒に整理していくと、カメラをもう1台まるごと増やすと、電池や太陽光パネル、インターネットにつなぐための部品まですべて2セット分必要になり、想像以上に費用がかさむことが分かった。

「アングルを広げる」だけで済むのでは

そこで出てきたのが、「カメラをもう1台増やすのではなく、畑用のカメラの写る範囲を広げれば、1台で両方をカバーできるのではないか」という発想だった。

カメラのレンズには、写る範囲が狭くて奥までくっきり写るものと、写る範囲は広いが端の方が少し歪んで見えるものがある。今回は、後者の「写る範囲が広いレンズ」に交換するだけで済むことが分かった。追加の費用は、カメラをもう1台買うのに比べると、10分の1以下で済む。

写真の細かさ(画質)を少し上げる必要はあったものの、それでも装置を1台に集約できるメリットの方がずっと大きかった。畑と庭が同じ方向から見渡せる位置関係だったことも、この判断を後押しした。

増やすのではなく、活かす

この一件で学んだのは、「新しい用途を思いついたら、新しい機械を増やす」のが必ずしも正解ではない、ということだった。すでにあるものの使い方を少し変えるだけで、同じ目的が達成できることがある。

畑のための1台のカメラが、結果として空き家全体を見守る役割も兼ねることになった。最初に思い描いていた計画より、少しだけ欲張りな仕組みに育っていった瞬間だった。

次回は、実際にこのカメラや通信の仕組みを、工作の経験がまったくない状態からどう組み立てていったか、部品選びの試行錯誤について書きたい。